月光

昭和の街並から、その名残の風景まで・・

柳川

柳川 こたつ舟

木立の間に細い月が懸って梢や枝を影繪のやうに黝(くろず)ませてゐたから、 河はただ河明りによってそれと知られるだけだった。福永武彦「廢市」 昭和54年(1979)12月8日 柳川

柳川 御花

小さなびいどろ罎に薄荷や肉桂水を入れて吸って歩いた「白秋/思ひ出」 柳川 御花 昭和54年12月8日 「うつし繪の面(おもて)に湿った仄かな油のにほひは また新しい七歳の夏を印象せしめる」

柳川 沖端町

白秋生家向かい 煎餅を焼くかっぽう着の女性 「森山醤油」の玄関そばの格子から中をのぞく男の子 昭和54年(1979)12月8日 柳川藩主立花邸「御花」駐車場 海に近い「沖端」は平家の落ち武者の六騎が流れてきて漁りに従事したとある

柳川 殿の倉

「殿の倉」藩主の屋敷の倉 屋根に段差がある なまこ壁、白壁が美しい 昭和54年(1979)12月8日 わが友よ、わが過ぎし少年の友よ、汝(な)は知るや、 なつかしき幻燈の夜を 白秋「幻燈のにほひ」

柳川 白秋生家

「實際私の生家は・・酒造家としても最も石數高く・・」 柳川 沖端町55-1 昭和54年(1979)12月8日 「私の家を差覗く人は、薊や蒲公英の生えた舊い 土蔵づくりの朽ちかゝった屋根の下に・・」

柳川 抒情小曲集

日に日に廢れてゆく舊い封建時代の白壁が今なほ懐かしい影を映す 「わが生ひたち」白秋 昭和54年(1979)12月8日 アラーキーの新婚旅行「センチメンタルな旅」は1971

柳川 水路

柳川 昭和54年(1979)12月8日 いと紅き林檎の實をば 明日こそはあたへむといふ 白秋 何處かで三味線の懶(ものう)い調子 疲れてゆく静かな思い出の街 白秋 「思ひ出」

柳川 白秋「思ひ出」

白秋「思ひ出」 私の郷里柳河は水郷である。 そうして静かな廢市の一つである。 昭和54年(1979)12月8日